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【ボイストレーニング】話し声と歌声って別々のものですか?

ジャズボーカリストの粟田麻利子です。

話し声と歌声って別々なんですよね?と生徒さんから質問を受けることがあります。

この記事を読むとこんなことが分かる

(全体を3分程度で読めます♪)

・声の出し方の根本的な考え方がわかる。

・歌声と話し声の違いについて理解できる。

・美しい声とは何なのか?がわかる。

私は、歌声と話し声は、1つの延長線上にあると考えています

世の中には、色々なメソッドや考え方がたくさんあるので、もちろん考え方もそれぞれだと思いますが、私自身は話し声と歌声は1つの延長線上にあると考えています。

もちろん全く同じとは言いません!ですが、延長線上にあるかなーと。

単純に考えて、話し声が美しくなければ、歌声は当然美しいものにはなりませんし、逆も同じだと思いませんか?

実際レッスンの中で、私はよくデモンストレーションをしますが、私自身は喋っている声のままで、すぐに歌声として使えますし、逆に歌っている声のまま話し声にサッと移行することも簡単です。

話し声と歌声を全く別だと考えてしまうと、どちらかに無理が生じる

もし、話し声と歌声を全く別の声だ!と考えてしまうと、話し声と歌声のどちらか(基本的には、より使う音域が広い歌声の方)に無理が生じることが多いと思うんですね。

元々、話し声というのはその人にとって一番自然に出せる声のはずですよね?(より長い時間をその喋り方、話し声で過ごすわけなので)

で、そこから歌声に移行するために、筋肉の使い方や、口の開け方など諸々の動きを、全く別のものに変えてしまうというのは、不自然じゃないかな?と私は思うんです。

なので私自身の考え方の基本は、まず、話し声がしっかりとバランスが取れていて、その延長線上に、歌声がある、と考えるのが自然ではないか?と思います。

まず、話し声や喋り声が、バランスが取れている声で発声できていて、その上で、その延長線上に、美しい歌声があると考えることが、自然なのでは?

話し声と歌声は全く別のものと考えてしまうと、どちらかに無理が生じてしまうと考えられませんか?

一般的に言われる「良い声」とはどんな声なのか?

上記のように考えると、まずは、話し声をしっかりと整えていかなくてはいけない!ということになります。

一般的に良い声、聴きやすい声、美しい声などと言われる声は、こんな声を指していることが多いです。(もちろん、これ以外にも色々あると思いますが・・)

一般的に言われる「良い声」とはどんな声?

・声の響きが美しい

・高音がよく出る。

・音域が広い。

・声の質感が魅力的。などなど

良い声の秘密は、様々な意味で、バランスが良いこと!

こういった、いわゆる「良い声」を出すことができる人は、下記のように様々なバランスが取れています。

身体の各部位の共鳴のバランスが取れている

声というのは、「鼻腔共鳴(鼻に響く声)」「口腔共鳴(口腔内に響く声)」「咽頭腔共鳴(喉の奥に響く声)」で構成されています。

この3ヶ所の響きのバランスが取れていないと、聴きづらい声にきこえてしまいます。

多くの場合、話し癖や歌い癖によってこのバランスが崩れてしまい、咽喉周辺に力が入り過ぎてしまったり、妙に鼻にかかった声になってしまったりします。

ここでも少し(本当にざっくりですが。笑)お話ししています。

発声に関わる筋肉のバランスが取れている

発声に関わる筋肉はたーっくさんあって、ここでは割愛しますが(細かいことを知りたい方はレッスンにどうぞー♪)筋肉のバランスが取れていないと、苦しそうな声になってしまったり、逆に声にパワーがなくカサカサしてしまったり、思ったような声の質感を出せません。

逆に発声に関わる筋肉を思ったようにコントロールできると、声の質感を自在に操ることができます。

すこーしだけ筋肉の話をすると・・ここでは1つだけ。

甲状披裂筋(Thyroarytenoid muscle)に力が入ると、声帯が収縮し短くなります。

いわゆる、地声、強い声を作る筋肉で、ここが優勢すぎると、のど声といわれるような、力みが強い声になりますし、逆にこの甲状披裂筋がしっかり使えていないと、弱々しいようなパワーのない声になってしまいます。

舌、唇、顎などをダイナミックに動かせる

舌の位置や唇や顎の動かし方って、実は発声にはとっても大事です。そして、大人の場合、かなりの確率で舌や顎の動きが硬いです。エクササイズの具体例はまた配信しますが、たとえば、

あっかんべーを10回(舌のエクササイズ)

「べー」の時に舌をしっかり出しましょう。同時に眉毛と目を上にグッとあげます。)

ういういを10回(唇のエクササイズ)

「う」の時に唇をしっかりと突き出しましょう。「い」で唇を横に開きます。

「おうおう」を10回(顎のエクササイズ)

口を大きく開けると考えるよりも、下顎全体を下げるということを意識しながらエクササイズを行ってみましょう。

私自身は大人の方のレッスンをすることが多いのですが、大人は大きな口を開けて話すということがとても苦手です。

子供の時は大笑いをしたり大きな声で泣いたりと、顎をしっかり動かす習慣というか、特徴があります。逆に大人になると、なかなか大きな口を開けて笑うなんていうこと自体が、減ってしまいます。

そのため、顎の可動域が非常に狭くなり動きづらい!という現象になっているのにもかかわらず、そこに気づかないで過ごしているということが多数あります。

顎関節症の方は無理する必要はありませんが、顎に痛みのないような方は、ぜひ下顎全体を下げて動かすようなイメージをしてください。

口を大きく開けるのと下顎を下げるというのは、全く違います。口を大きく開けてしまうと、唇周辺や首のあたりした後にこわばりが生じてしまいます。これはナチュラルの動かし方ではないと私は考えます。

下顎全体を下げるようなつもりで口を開けると、口の中の空間が広がり、より脱力感を得られると思います。ここが重要です。

各言葉(特に母音)の発音、口のポジションが正確、バランスがいい

ここでは日本語の母音に関してお話ししますが、「あ」「い」「う」「え」「お」それぞれに正しいポジションがあります。これが曖昧だったり、癖が強かったりする方が多いです。癖が強い方は、発音が不明瞭で聴きづらいです。

母音の各ポジションについてはまた別記事でおしらせしますね。

声の美しさはバランス次第

声の美しさとは、上記のようにバランスのとれた声を習得することが重要です。

もちろん、このバランスを保つためには、

・各部位の機能を最大限開発するために練習を繰り返したり

・自分の声の響きを録音で確認して改善点を自分で見つけたり

・練習した動きを人前でも再現できるように準備をしたり

・自分の声がどのように周りに聞こえているのかを録音して聞いたり

・リラックスしている声で話したり歌ったりできているのかを確認したり

 

・・・などなど、たくさんのやるべきことがありますね。

やることがいっぱいですよね。でも長い時間をかけるだけでは意味がないんです。

今、何のためにこのエクササイズや練習をおこなっているのか?を常に意識しましょう

今、このエクササイズは、何のために行っているのか?ということを、常に意識しながら行わなければ、意味がありません。

今は、下顎の動きを意識する、とか、舌の動きを意識する、とか、それぞれのエクササイズを行うには理由があります。

短い時間でもいいので、目的意識をはっきりして実施してみましょう!

・バランスの良い声を手に入れるためには、反復練習が不可欠です。

・各エクササイズを、何のために行っているのか?ということを、常に意識しながら行ってみましょう。

・目的意識のない練習は意味がありません。