英語が話せなくても、ジャズボーカルを始めることはできますか?
ジャズのおしゃれな雰囲気に憧れて、ジャズボーカルをやってみたいと思われる方もとっても増えました。レストランでもよくBGMとしてかかっていますし、やっぱり英語の曲をかっこよく歌えたら素敵ですよね。
この記事はこんな形に向けた記事です。
- ジャズボーカルを始めてみたいと思っている方。
- ジャズボーカルをやってみたいけれど、英語が苦手な方。
- 英語が話せないとジャズボーカルはできないのではないか?と心配な方。
- 英語が話せなくても素敵にジャズを歌いこなすコツを知りたい方。
ジャズはアメリカで生まれた音楽です。
ジャズはアメリカで生まれた音楽のため、その曲の多くは、英語の歌詞がついています。
例えば美空ひばりさんのように、日本語の歌詞をつけて歌われている方や、和訳を独自につけて歌われているシンガーの方も見えますが、こういったケースはかなりレアです。
または、ジャズとブラジルの民族音楽が融合して生まれたボサノバの音楽は、ブラジルの公用語であるポルトガル語を使って演奏されることも多いです。(もともとのオリジナルはポルトガル語で、後に英語の歌詞を新たに付け加えたような曲も多数あります。)
こういったことを踏まえると、
- 英語がしゃべれないとそもそもジャズボーカルにはチャレンジできないのではないか?
- 私にはハードルが高すぎるのではないか?
と考える方も、少なくないのではないでしょうか?
ジャズボーカルを始めるのに、英語がしゃべれるに越した事は無い
先ほどもお話しした通り、ジャズで演奏される曲のほとんどすべては、英語(もしくはポルトガル語)になりますので、もちろん英語がしゃべれるに越した事はありません。
日本の結構な数のジャズシンガーは、英語の発音に自信がない?
プロのジャズシンガーとして活動している人でも、実は英語を喋れないない人、英語に苦手意識を持っている人はとても多くいます。
もちろん私自身もまだまだ中級レベルですし、ネイティブのレベルには全く届いていませんが、それでも毎日オンライン英会話やTOEICの勉強などを通じて、できるだけ英語を身近に感じるようにしています。
だから安心して!というわけでは全然ないのですが・・・(笑)
ミュージシャンの私が英語を勉強した方法(誰でもできる簡単な勉強方法)(別記事:近日公開予定)
間違って英語の発音がイマイチな方のレッスンに通ってしまうと、発音が悪くなるだけでなく、言葉と言葉のリンキング(リエゾン)によるリズムの取り方が、ナチュラルでなかったりと、ジャズの演奏にも支障が出てきます。
講師を選ぶ時は、充分注意しましょうね。
よい講師(特にジャズボーカル)の見つけ方については、こちらの記事をぜひご参照くださいね。
ジャズはアメリカで生まれた音楽である以上、英語は切り離せない要素です。
やはりジャズはアメリカで生まれた音楽である以上、どうしても英語を使って表現することは避けられません。
しかし、英語がネイティブ並に喋れないとジャズボーカルはできないのか?というと、それはNOです。
1. 日本人が間違えやすい単語や歌詞によく出てくる単語を集中的に習得
日本人が間違えやすい単語や発音、歌詞にしょっちゅう出てくるような単語を集中的に練習&習得しておくことで安心して発音できるようになります。
以下の単語は、ごくごく1部ですが、どの単語もしょっちゅう歌詞の中に出てくる単語や、間違いやすい単語です。ぜひ参考にしてくださいね。
- sheとseeとseaの発音
- musicとmagicの発音
- throughとthoughの発音
- starとstirの発音
- canとcan’tの発音
私は英語辞書のアプリを使っていますが、最近ではGoogleのウェブサイトでも発音してくれる機能が付いていたり、deepl.comもとても優秀です。
単語だけじゃなく、文章を発音してくれる機能もあるので、発音された音色をそのまま真似るのがよいです。
2. 単語と単語の繋げ方をマスターする(リエゾン、リンキング)
英語には、言葉と言葉が一定の法則で、1つの単語につながっているように聞こえるように発音をすることがあります。
例えば、前の単語の最後が子音で終わり、次の単語の最初が母音で始まるような場合、言葉と言葉がつながって1つの単語に聞こえるように発音することが多いです。
例えば、in other wordsのように
inの「n」のように子音「ん」でおわり
otherの「o」のように母音「あ」で次の単語が始まる場合
inother(い「な」ざわーず)のように単語同士が近づくように発音します。
前の単語の最後が子音で終わり、次の単語の最初が母音で始まるような場合、言葉と言葉がつながって1つの単語に聞こえるように発音することをリエゾンやリンキングなどと呼びます。
英語の発音が、ナチュラルに聞こえる秘訣です。
こうやって単語同士をつなげることで、歌詞にリズムが出てきて、よりジャズらしい表現をすることができます。
逆に単語同士を繋げず、1つずつぶつ切れに歌ってしまうと、歌詞の意味が伝わりにくいだけでなく、リズムも悪くなってしまい、のっぺりと歌っているように聞こえてしまいます。
[曲の中でのリエゾンの練習]
単語同士を繋げながら歌う、リエゾンの練習の方法は以下の通りです。
この練習はたとえ英語が話せなくても、実際耳で音源を聴きながら楽譜をチェックして、発音の練習を繰り返していけば上達していきます。
- 歌詞の中で、上記の法則に該当する場所に丸をつけましょう。
- その上で、有名アーティストたちの音源を聴いてみましょう。
- 音源を聴く時は、できるだけ細かい部分まで集中して聞き取るように努力しましょう。
- 英語の歌詞を読むのではなく、聴こえてきたままを発音したり、ルビの文字に書き起こしたりするよう心がけましょう。
- 聞き取れない時は、必ずテンポを落として練習しましょう。
3. 自分なりの発音ルビを楽譜や歌詞カードに書き込む
レジェンドたちの有名音源を何度も聴きまくって、自分なりの楽譜や歌詞カードを作るのも有効な練習です。
通常、歌詞カードや楽譜を見ながら新しい曲を覚えると思います。練習時に大切なことはこちらです。
- 英語の歌詞を読もうとするのではなく、聞こえたままを口に出すつもりで、注意深く何度も聴きましょう。
- きれいなルビを振る必要はありません。自分が次にそのルビを見て発音を同じように再現できるように、メモのようなつもりで書いておきましょう。
- 何度も何度も参考音源を聴いて、発音だけでなく、リズムも合わせて覚えてしまいましょう。
- 語尾の発音も気をつけて参考音源を聴きましょう。(以下参照)
[語尾の発音まで意識して、参考音源を聴きましょう]
例えば、「LOVE」という単語を発音する際、「VE」の部分は、実際のところ曲の中だとほとんど聞こえないことが多いです。しかし、
聞こえないからといってその音を省略して良いと言うわけではありません。
小さな音でもその音があることでのリズムが出るわけです。
笑い話のようなところですが、できる、できないの意味の「CAN」と「CAN’T」。しっかりと「’T」まで発音しないと全く逆の意味になってしまう場合があります。なんとなくゆるっと音源を聴かず、細かい部分まで何度も何度も聞きましょう。
[テンポを落として参考音源を聴くのも、とても大切!]
英語が苦手な方は、特に速いテンポの曲は、歌詞を全然聞き取れない!ということが起こると思います。そんな時は、なんとなく歌ってしまわず、自分が歌詞を聞き取れる速さまでテンポ落としましょう。
ゆっくりのテンポで歌えなければ、速いテンポで歌えるわけはありません!
まずは歌詞を追える速さまでテンポを落として練習することが必須です。とっても重要!
こういったケースに最適なのはAmazing Slow Downerというアプリです。このアプリはかなりのミュージシャンが使っている印象で、もちろん私も15年以上使っています。
このAmazing Slow Downerというアプリは、音声ファイルのテンポやキーを自由に変えることができます。他のアプリに比べて比較的音の劣化が少なく、テンポを落としても歌詞が聞き取りやすいです。
機能は限られますが、お試しの無料版もあるため、ぜひ使ってみてくださいね。
4. 歌詞の内容をしっかりと把握、理解する
歌手にとって歌詞というのは、曲の世界観を把握したり、表現力といった意味でも重要な要素です。メロディーや歌詞を丸暗記するだけでは、なかなかその曲の世界観に入り込むことはできません。
わからない単語や熟語、表現があった場合は1つずつ辞書で確認しましょう。時間がない場合は、「(曲名) 和訳」「(曲名) 歌詞 和訳」などで検索すると、様々な方が歌詞の内容を解説しているブログなどを調べることができるので、最低限、それくらいはやっておきましょう。
楽しい曲なのか、失恋の曲なのか、わからず歌っていた・・。なんて話になりませんから。苦笑。
5. あとはひたすら練習!
ここまで準備したら、あとはとにかく練習。ひたすら練習です。回数重ねるのみです。
多くの方は、ここが圧倒的に足りません。
なかなか上達しません、どうしてですか?の答えのほとんどは、単純に練習量が足りないからです。
もしもあなたが、10回くらい歌っただけで憧れの曲を攻略できるなら、レッスンに通う必要はないし、プロの歌手になりましょう(笑)
音楽を通じて英語力をアップしていきましょう
今回は様々な面から、英語がしゃべれなければジャズボーカルをやるのは難しいのかどうかを検証してみました。
自分の好きな曲を通じて新しい英単語、独特な言い回し、発音を覚えていくことができるので、そういった意味では、ジャズボーカルにトライするのは、英語力を伸ばすにもとても良いと思います。
また、ジャズスタンダード曲は、いわゆるポップス系の曲に比べると、歌詞の量がかなり少ないですし、英語に苦手意識のある方でも取り組みやすいと思います。
ジャズスタンダード曲は歌詞の量も少ないので、はじめて英語の曲に取り組む方はおすすめ。
たとえば、Over the rainbow(虹の彼方に), When you wish upon a star(星に願いを)などは、耳馴染みもありますし取り組みやすいですよね。
映画やドラマを通じて英語に親しむのもグッド!
英語へのハードルが高い人は、映画やドラマを通じて英語に親しむのも良い方法だと思います。たとえば、Gleeなどはたくさんの有名な曲がドラマ内に出てくるので自然に親しめますし、わからなかったら何度も繰り返してみられますしね。
英語勉強に活用するならAmazonプライム・ビデオやU-NEXT などがおすすめ。もちろん両方とも、Friends配信されていますよ。
自分ひとりだと難しくても先生と一緒なら楽しく進んでいける
自分ひとりでも上達していくことは可能ですが、きちんとした知識のあるボーカルの先生につくことで、一緒に楽しみながら英語力も音楽力も高めていくことができます。
私のレッスンをご希望の方は、ぜひ下記のリンクからお気軽にお問い合わせくださいね。一度お試しでレッスンを受けてみたいという方もウェルカムです。