ジャズシンガーに本当に合う楽譜集はどれ?
憧れのジャズボーカルを始めてみると、
- なにか1冊、レパートリー集(曲集、楽譜集)が欲しいな。
- ジャズシンガー向けの曲って、どんなものがあるんだろう?
- レパートリーを増やしたいから、たくさん曲が入っている楽譜集がほしいな。
- 自分に合う曲がわからないから、まずは色々歌ってみたいな。
こんな方もおられるのではないでしょうか?
今日はそんな方向けの記事です。
- ジャズボーカルを始めたばかりの方
- ジャズシンガー向けのレパートリー集(曲集、楽譜集)を購入したい方。
ジャズボーカル初心者は、1冊だけレパートリー集を持っていれば充分です。
ジャズのレパートリー集は、たくさん出版されていて、ジャズスタンダード曲が20〜30曲掲載されているものから、数100曲まで、いろいろと売られています。
ネットで検索するとたくさんありすぎて、何を買えばよいのか迷ってしまうと思います。
おすすめの楽譜集だけをサクッと知りたい方は、こちらの記事をご参考にどうぞ。(今回の記事は、選び方のコツの話です。)
ジャズボーカル用の楽譜集の具体的な選び方
ジャズシンガー向けの楽譜集の具体的な選び方の大枠はこんな感じです。
- 掲載曲数を確認しましょう。
- 目次を確認しましょう。
- 自分の知っている曲がどれくらい掲載されているかを確認しましょう。
- CDなどがついているかどうか確認しましょう。
- 楽譜の書きっぷりを確認しましょう。(出版社や著者によってばらつき大!)
1. 掲載曲数を確認しましょう
ジャズボーカリスト向けの楽譜集は、ジャズの有名曲が20〜30曲入っているものから数100曲掲載されているものまで様々なものが市販されています。
ジャズボーカル初心者の方であれば、20〜30曲掲載されている楽譜集でまずは充分です。そういった割と薄めの楽譜集にまず取り組まれたあと、分厚めの楽譜集を2冊目に取り入れられるとグッドだと思います。
ただ、曲数が少なめの楽譜集の場合、割高なことも多く、また好みに合わない選曲の場合もあるいので、最初から分厚めの100曲以上ジャズの有名曲が掲載されているものを購入されるのもアリです。
2. 目次で掲載曲目を確認しましょう。
実際のお店であれば、こんな手順でまずは数冊の目次をペラペラめくってみましょう。ネットショップであれば、そのページ自体で目次を確認できる場合もありますし、曲目がわからなければ、出版社のウェブサイトまで行けば、ほぼ確実に載っています。
3. 曲名を見てみて、どれくらい知っている曲が載っていそうですか?
ジャズボーカルのための、と書かれている楽譜集は、基本的にはジャズを歌いたい人のために向けて編集されていますので、多くの曲はいわゆる初心者が取り組みやすい曲だったりとても有名な曲になります。
曲集を選ぶ際にやはり一番の決め手となるものは、知っていそうな曲、名前を聞いたことのある曲が少しでも多く入っているものを購入するということでしょう。
ただ、有名な曲だからといって、初心者向けの曲とは限らないことがポイントです。
別記事で、ジャズボーカル初心者にもおすすめできる曲をご紹介していますので、そちらの記事を事前にチェックしておいていただけると、目安になると思います。
有名な曲だからといって初心者向きとは限らない罠(別記事:近日公開)
ジャズシンガー初心者にもオススメできるジャズレパートリーとは?レベル表付き。
英語の歌詞を楽譜に記入する際は、こんなことを気をつけよう。(別記事:近日公開)
4. CDなど補助的な教材を確認しましょう。
楽譜集によっては、CDなど補助的な教材がパッケージになっている場合もあります。特に初心者の場合はCDなどと合わせて練習できるととても効率的なので良いと思います。
ただ、ほとんどのCDはあくまでおまけレベルのクオリティで、質がよいものは本当に限られています。特に日本の出版物で、CDのクオリティまできちんとしているものは皆無です。
なのでCDなどについては、あくまで補助的なものとして、ついていたらラッキー程度で良いと思います。
逆に今は私のYouTubeチャンネルでもすでに400曲近くの生演奏に限りなく近いカラオケをアップしていますし、iReal Proというとても便利なアプリもありますので、ぜひそういうものを活用してもらえるとよいと思います。
iReal proを徹底活用講座(別記事:近日公開)
5. 楽譜の書きっぷりを確認しましょう
楽譜の体裁やコードの書き方、文字のサイズなどは、出版社、出版物によって全く違います。
日本語で出版されているジャズのレパートリー集もたくさんありますが、ほとんどのものは実際の演奏現場で使われていないようなコード進行が書かれていたり、そもそもジャズの楽譜の書き方に合っていないような楽譜集の場合もあります。
かなり文字がちいさくて見辛いものや、あきらかにジャズアーティストが監修していないなーというジャズの曲集などが多数です。
酷いものは、ピックアップ(アーフタクト)部分で、なぜか小節が分かれちゃっていたり。そんな楽譜、本来だとありえないんですけどね。わかりやすく書いているつもりだと思いますが、逆にわかりにくいし、生徒が混乱して持ってきました(涙)今度生徒の楽譜を真似た絵を書いてみます・・。
ジャズの楽譜の特徴、スイングのリズムの書き方(別記事:近日公開)
ジャズの楽譜は移調して自分流に書き直すことが前提(別記事:近日公開)
楽譜作成ソフトって何があるの?(別記事:近日公開)
ジャズボーカリストに適した楽譜の条件
ジャズシンガー、ジャズボーカリストに適した楽譜の条件は、以下の通りです。
- メロディー、歌詞、コードがきちんと描かれていること。(歌詞は必要に応じて)
- 1段のメロディー譜面であること。3段譜は基本的にはNG。
- コード進行が一般的にジャズの現場で使われているものであること。
- コードの振り方がやたらと細かくなっていないもの。(生演奏の伴奏CDがついている楽譜や、3段譜はコードがやたらと細かくなりがち。)
- SwingやBossa Novaなどのリズムスタイル、A,B,Cなどセクション番号がきちんと書かれているもの。
- きちんとジャズのプレイヤーが監修している楽譜であること。
レッスンをしていると、3段譜のジャズ曲の楽譜を持ってみえる方、すごく多いんですよね。でも、それはあまり適さないですね。それはこんな理由です。
- ジャズピアニストは、単純にピアノの細かい伴奏は読んでいないからピアノ伴奏の部分が邪魔。
- 楽譜に書かれているピアノの伴奏に合わせてコードが振られているため、コード進行が細かすぎたり、不自然なコードが付けられていて伴奏が弾きにくい。
- 単純にページ数が多すぎて、読みづらい。
- さらに、キーが合っていない譜面などを持ってこられると、上記の状態にプラスして頭の中で移調しなくてはいけないので、最悪。
ということで、ジャズの曲を歌う際は、レッスンには3段譜の楽譜は持っていかないようにしましょう。あ、ライブの時はもちろん絶対NGですよ。キーがあっていない楽譜も当然NGです。
ジャズの曲を歌う際は、レッスンには3段譜の楽譜は持っていかないようにしましょう。
ライブで歌う場合のバンド用の譜面も絶対3段譜はダメです。
キーが自分に合っていない譜面はもっとダメです。最悪です。譜面を移調させる方法を覚えましょう。(別記事:近日公開)
ということで、条件をクリアする楽譜って本当に限られているんですよね。わずか2つの楽譜集だけなんですよね。
こちらの記事もご参考にどうぞ。
その1. The Real Vocal Book
The Real Vocal Book – Volume I Songbook: High Voice
私のお勧めはこちら。The Real Vocal Bookです。シリーズでいくつか出ています。300曲以上の掲載曲で、初心者で足りないということはありません。
より見やすい書体にしたThe New Real Bookもあります。
私はどちらも持っていますが、The Real Bookの方はコードの書体が手書きのようになっており、慣れていないと見づらいかもしれません。これぞ海外の出版物という感じで、紙の質は良くないです。でもアメリカの本とかもどれもこんな感じなので、まぁ海外の出版物ってこんな感じです。
逆にThe New Real Bookの方は、いわゆる一般的な楽譜の書体に近くて、初心者ならこちらの方が見やすいかもしれません。ただ、ちょっとサイズが大きいので持ち運びという意味では適しません。こちらはハードカバーなので、The Real Bookより重厚な感じはあります。(The Real Bookはペラペラの紙1枚のカバー。笑)
その2. ジャズスタンダードバイブル FOR VOCAL
上記のThe Real Vocal Bookは、海外の出版物です。アマゾンで購入するのが一番簡単だと思います。
実際に現品を見ながら買いたいな、という方はこちらが良いと思います。
収録曲も100曲以上ありますので、曲数的にも問題ありません。日本語で注釈とかも見たいという方はこちらの方がよいですね。
ちなみに、アットエリーゼというウェブサイトでは、一曲ずつ上記のジャズスタンダードバイブルの楽譜を購入することもできるので、1曲ずつ必要な分だけ欲しいという方は、ダウンロードするのもよいですね。たとえばこんな感じ。
楽譜集を買う時のポイントは、
1. 掲載曲数、目次、知っている曲の数、CDの有無、楽譜の見やすさ。(出版社や著者によってばらつき大!)
楽譜の中身のチェックポイントは、
1. メロディー、歌詞、コードがきちんと書かれていること。
2. 1段のメロディー譜面であること。3段譜は基本的にはNG。
3. コード進行が一般的にジャズの現場で使われているものであること。
4. コードの振り方がやたらと細かくなっていないもの。
5. SwingやBossa Novaなどのリズムスタイル、A,B,Cなどセクション番号がきちんと書かれているもの。
6. ジャズのプレイヤーが監修している楽譜であること。
以上を踏まえて、おすすめできるのは
1. The Real Vocal Book
2. ジャズスタンダードバイブル(ボーカル用)